沖縄の宮古島で織られる紺地に絣(かすり)および縞柄の麻織物。
江戸時代より、夏の高級な着尺地として知られています。
一反織るのに2ヶ月以上かかる上布の最高級品。「東の越後、西の宮古」と呼ばれる日本を代表する織物。国の重要無形文化財に指定。
宮古上布の特徴は、堅牢で耐久性に優れ、弾力があり軽快、肌触りが抜群である。原糸は極めて上質な苧麻の手績みの糸で高機にて織ります。糸染めは琉球藍で行い、地色は濃紺、絣柄は白、藍の薄い色などで、細かい絣柄だと3ヶ月以上かかる。宮古上布はロウを引いたように美しい。これはロウを引いたわけではなく、甘藷でつくった糊を付け、砧で打ってつやを出します。
宮古上布は、天正11年、宮古島の与人(部落長)下地真栄の妻の稲石が細綾錆(ほそあやさび)
すなわち縞織りのことで、苧麻(ちょま)の細糸で織った錆色の上布を王に献上したことを始まりとされています。
その後、1609年の薩摩藩が琉球王国を侵略、人頭税として「宮古上布」を織ることを強いられました。
琉球王府は、字(村)ごとに村番所を設置し、公の宮古上布の工房としてブンミャー(糸績屋)と呼ばれる施設を設け、その村から手先の器用な女性を5、6名選び出し、その場所で琉球王府への貢納布として上納させました。
※ブンミャー(宮古島の方言では、ブー(糸)・ンミ(績ぐ)・ヤー(屋・建物))
薩摩を経て「薩摩上布」という名前で、江戸を始め全国に販売され、「宮古上布」とよばれるようになったのは、明治、大正を経て、第二次大戦後からのことです。
糸は苧麻を原糸として、経(たて)糸が双糸、緯(よこ)糸が単糸、経緯それぞれに地糸と絣糸の四種に分類される。糸染めには泥藍が使用され、絣は手括り(てくくり)と締め機があります。
織機は高機で、仕上げは織り上がった上布を煮沸し、澱粉を入れた水で洗い、半乾きのうちに砧(きぬた)打ちし、乾燥してから艷出しの砧打ちを行なう。したがって蝋(ろう)引きしたような光沢となめらかさをもっています。
日本全国から集められた貴重な紬・絣織物の数々などを月替わりで展示しております。
実際に「見て」「手に取って」ご覧いただけます。